まず最初に取り掛かったのが、「道徳教育」
そして、与えられた課題をテーマにレポートを書いた。。。
そもそも私達が世代から世代へと受け継ぎ、進化させ後世に伝えていくものは、全て「世界の平和と人類の幸福」のために存在しなければならないし、またそうあるために役立てられなければならない。それは、様々な分野における技術であったり、学問であったり、政治であったりと形は様々であるが、人類社会を成り立たせる全てのものが平和と幸福のためになければならない。それを可能にする確かな軌道、正しい方向へと導くのは他の誰でもない人類社会に生きる人間一人一人であり、またそれとは反対に戦争と不幸という暗闇の方向へと人類を導いてしまうのも、同じく人間一人一人である。
教育の分野においても漏れることなく全く同じ道理が成り立つのであって、さらにそればかりか、人類を平和と幸福の方向に導くのかそれとも戦争と不幸の方向に導くのかという点において、教育の与える影響とその責任は甚大なものである。「いったい永遠のものとは何であろう? それはそもそも正しいものと、正しくないものとの区別であるのだ。他の一切ははかないものである。」とキルケゴールが綴ったように、人類が歩む道も「正しい道」か「正しくない道」かのどちらかでしかないのである。正しい教育は人類を正しい道へと導き、正しくない教育は人類を正しくない道へと導く。要するに正しい教育は人類を「平和と幸福」の方向へと導き、正しくない教育は人類を「戦争と不幸」の方向へと導いてしまうのである。だからこそ教育のもつ責任は大きく、その教育が正しくあり続けるために全世界で永続的に見直されることが必要である。
では、教育が正しくあり続けるために必要になるのは何であろうか。そもそも、「人間が人間らしく生きるためには道徳的であらねばならない」という観点から見るならば、教育活動においても同じ事が言えるのである。「人間が人間らしく生きるための教育」こそが「人類を平和と幸福の方向へと導く正しい教育」であり、その「教育」が正しくあり続けるために必要になるものこそが、「道徳」なのだ。
ではここで、人類の明暗を決定付けるとも言える、この「道徳」の「教育」について述べてみたい。まず、「道徳教育」は一体誰が行うべきもので誰の肩に「人類の明暗」がかかっているかという問題についてだが、これこそが現代社会が抱えてしまった大きな落とし穴なのだ。「教育は、教師がやるべきもので、その責任は全て学校にある」などと言ってのけてしまう大人がいて、そういう大人達で構成される地域社会があって、その中で生きているのが現代の子供達なのである。「人類の明暗」を左右する責任は大人にあるのであって、教師や学校だけにあるのでは無いはずだ。言い換えれば、「道徳教育」は教師だけが行うものでもなく学校だけで行われるものでもなく、子供達を育む地域社会全体で行われるべきものであり、全ての大人が責任をもって行うべきものである。
以上を踏まえ、私の身近にいる中高生の生き方について触れながら、「道徳教育とは何か、その必要性はどこにあるか」という問題についてまとめてみたい。
今年の夏、私達夫婦は思いもかけずすばらしい出会いを体験する事ができた。ある壮年の方を通じて出会ったのは5名の高校生たちだった。全員が17歳である。H君は人々を幸せに出来る平和の料理人を目指し、T君は人人の幸福のために学者になると誓い、R君は世界の平和のために貢献できる人材になることを誓い、Y君は苦手な読み書きを克服して立派な建築家になることを目指し、そしてSさんは将来アフリカで活躍することを目標に掲げている。5人の内3人は親の離婚に伴う経済苦の中、昼間は働き夜学校に行くという挑戦の日々を送っている。なんと崇高な理想をもった青年達だろうか。しかし彼等のような中高生は数少ないのではないだろうか。彼等にあって彼等を支えているものは何なのか。それは彼等5人が定期的に勉強のために集まってくる家のご主人の誠実な「教育」なのだと感じざるを得ない。学校の先生でもない、ただ一人の親として、我が子を通して知人を通して知りあった青年達を迎える地域の大人の一人として、5人全員と真正面から向き合いながら彼等の成長と幸福を祈り誠実に接し共に学ぼうとされている。この姿の中に全てがあるように思えてならないのである。
「道徳教育」とは学校だけで行われるものではなく、やはり家庭と地域社会がしっかり子供達と関わりながら大人たちが教えていかなければならないものなのではないだろうか。そして、「道徳を教える」ということは「大人が正しい生き方を背中で見せる」ということであり、「道徳を育む」ということは「大人が責任をもって子供達と真正面から向き合う」ということなのではないだろうか。
英知を磨くは何のため
君よそれを忘るるな
労苦と使命の中にのみ
人生の価値(たから)は生まれる
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